文化人類学者の竹村真一氏は、「地球価値創造としての日本の食と農」、「日本食は未来食」などユニークな主張をされています。斬新すぎて呆気にとられますが、その説から三点ほどご紹介以します。
◎ 米は太陽電池
一粒の米から、なんと3000粒ものお米が収穫できます。驚異的な増え方です。さらに、水と大地さえあれば、米は太陽のエネルギーを蓄え炭水化物を作り、人間はそれを食べて生命維持のエネルギーとするのです。ですので、米は高性能の太陽電池とみることができるのです。また、連作障害がないのも、優れたところです。
◎ 食⇒人を良くする
分解してみた字のように、食は人を良くするものです。以前紹介したマクガバンレポートの注目したPFC(タンパク質・脂質・炭水化物)のバランスが、米中心の日本食では取れています。また、「発酵」や「天日干し」などの技法にも、健康に良い未来の食事のヒントが一杯です。
◎ 人と自然の協働
日本は水の豊かな国というイメージですが、雨は多くとも山がちで急峻な地形のためすぐ海に流れ去り、本来は使える水はそう多くありませんでした。
けれど、米作りのために治水をし、水路を整備し、田に水を引きました。すると、水はゆっくり時間をかけて流れるようになり、わずかですが気候も整え、魚や昆虫などの生物も繁殖しやすい環境になっていったのです。つまり、日本の水の豊かさも生物の多様性も、初めからあった自然ではなく、人と自然が協働した結果できた高度な人工自然なのです。
以上などの理由により竹村氏は、我国の「農」の営みは、「食をつくりながら、地球資本を殖やす(豊かにする)」営みであり、「地球価値の創造としての食と農」であると述べています。
《 感 想 》 まず、長い文章にお付き合いいただき、ほんとうに有難うございました。自分にとっても良い勉強になりました。
和食は思いのほか厳しい状況にあるようです。また、これを機会に自分の子供もふくめ若い人たちに話を聞くと、食べることの重みが失われつつあるようです。サプリやスナックでは食事の代用にならないし、お洒落なファッションも健康の土台があってこそと思うのですが、優先順位が不確かなように感じます。ある程度和食になじんできた世代としては、楽しい食事を次世代に伝えていくよう心がけたいと思いました。
お米については、驚くべき見解です。見慣れている田んぼでしたが、複雑な仕組みが絡み合って、稲作は高機能で偉大です。お米のご飯を食べるのは、最も身近な環境保護活動なのかもしれません。 2015.11.15記
《5年後のおまけ 》
実は今でも料理が苦手で、日々献立に困っています。 でも、簡単かつ楽しい料理番組にはいつも助けられるので、ご参考までに紹介します。
☆ きょうの料理 ビギナーズ(わずか5分でしかも愉快なアニメーションつきです。)
〔NHK〕 月~木曜 午後 10時45分~50分
〔Eテレ〕 火~木曜・翌月曜 午前10時40分~45分 (2020年10月現在)
☆ 弁 慶 丸 ユウチューブ放送
魚料理って難しそうですが、動画で基本から教えてくれる上田勝彦先生は分かりやすい。 大学教授には見えない頼もしさとテンポの良い語り口が魅力です。
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眞樹子 (金曜日, 25 11月 2022 13:20)
何やらしてもなぁと思う私ですが、できないわりによく頑張っていると、ほめてあげよう�