根来(ねごろ)塗
根来塗は、和歌山県の根来寺(ネゴロジ)に由来する塗り物です。
根来寺は 平安時代末に開かれ、最盛期には300~400もの寺院をかかえ、強大な勢力を誇っていました。 そして、お寺周辺には組織立った工房があり、優れた木地師集団により、什器などの漆器も作られました。
そして、根来寺の漆器は使い込まれ表面の朱がこすれ下の黒漆が所々に見え味わい深いと、お茶人たちに好まれるようになりました。やがてその解釈が広り、そのような表情の漆器を総称して、「根来」と呼ぶようになりました。 私のつくる根来は 、朱漆から下地を研ぎ出しています。 その上に漆を塗り重ね丈夫にしているので、安心してご使用いいただけます。
「根 来 塗 り」 と 「根 来」 のちがい
以前は私も混同していましたが、「根来塗り」と「根来」は 別と見なす方が良さそうです。
根来塗の研究者である故 河田貞先生(奈良国立博物館名誉会員.元文化庁文化保護審議会専門委員など)の30年来のご提唱です。
根来寺から本来の古い根来塗が発掘されたので、根来寺産出の漆器を根来塗りと呼び、それ以外の根来塗風の漆器は根来として区別すべきと唱えられています。 通常、漆器は「産地名+塗り」で呼ばれるので、根来塗りと言えるのは、根来産の漆器のみとのことです。
よって、私のつくる漆器も根来塗りではなく根来と称すべきかと思います。