より長く美しく使っていただけるように、少しアドバイスできればと思います。何事にもコツのようなものがありますので。すでにご存知の方は多いかとも思いますが、老爺心(?)です。
当たり前ですが、食器は使ったら洗ってから片づけます。そのときのご注意です。
ひどい汚れでなければ、布や柔らかいスポンジを用いぬるま湯で洗うだけで大体きれいになります。いつもいつも景気良く泡立てて洗っていると、漆の油分を取りすぎて色ツヤがあせやすくなります。とはいえ、長く使っていると水垢で薄汚れてくるので、たまに洗剤で洗うくらいは良いでしょう。洗い終わったら、水気を拭きしまって下さい。
『漆も木地も植物由来の柔らかい素材である』事を、ご理解ください。ですので、クレンザーやたわしで洗うと漆器の表面を傷つけてしまいます。また、食洗器は変形やキズなどのトラブルを聞くので、お避け下さい。
できれば鼻歌でも歌いながら、のんびり漆器を手洗いしていただければと思います。
『何より避けていただきたいのは、加熱すること』です。電子レンジやオーブンに入れて加熱すると、漆器が変形.破損する恐れがあります。(火気のそばに置いておくのも止めましょう。)
続いて避けてほしいのは、漆器の上で金属のナイフやフォークを使うことです。木でできた漆器は金属に負け、キズになります。木製のお箸やスプーンをお使いください。
意外かもしれませんが、漆器は紫外線(≒日光)が苦手で、浴び続けると変色や退色の恐れがあります。こんな話をしていると、「お肌みたいね」とおっしゃったお客様がいました。そう、天然素材は少しデリケートです。
漆器使いの達人とは…?
代表例を挙げると、どこの町でも活躍している和食の料理人の方たちです。仕事がら日々漆器に接しているので、ていねいで手際の良い扱いをし、また器の盛り付けなどにも面白い工夫があります。私など見ているだけでも勉強になります。
漆器の扱いに迷ったら、料理と器の素敵なお店をのぞいてみましょう。ヒントが一杯ありそうです。
参考のために残しているお椀です。よく働いてくれましたね、お疲れさん。
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